表彰状

中学のとき自分は卓球部に所属していました。
うちの中学は強豪校でいつも地区大会では上位のほうにいて表彰状をもらっていました。
もはや毎年表彰状をもらうのが当たり前のようでした。

そして自分が3年生のとき、個人戦シングルスで表彰状もらおうと思ってた矢先にその当時の部長から「オレとダブルスを組まないか」と言ってきた。
当然自分は断った。
だが部長は引かなかった。
「シングルスだと強豪が多い。ダブルスならシングルスほど強豪が多くないから勝ちの残りやすい。しかもオレたちのダブルスの成績はそんなに悪くはないから最後の大会で結果を残したいならダブルスでいくべきだ」と言った。

確かに部長の言い分はわかる。
もちろんオレだって結果をだしたい。
ただ自分は一人で勝ちたかった。
それにダブルスだと自分のミスがパートナーである部長にも迷惑がかかる。
そんな迷惑をかけるなんて御免だ。

そのことを言ったら部長が「わかった。じゃあじゃんけんしよう。オレが勝ったらダブルス組め。自分が勝ったらシングルスでいい」といい、
自分も「わかった」と言った。

その結果自分は負けダブルスを組むことになった。
それ以降は心を入れ替えダブルスの練習に専念した。

そして個人戦当日、ベスト8まで進出した自分たちは意気揚々としていた。
「あと一回勝てば県大会だな」
「そうだな。次の相手は毎回決勝までいってる相手だ。まあ緊張せずにいつも通りやっていこうぜ」
「オーケー」

試合が始まった。
最初のゲームは自分らしいプレイができずゲームを取られてしまう。
次のゲームからお互い調子が上がりなんなくゲームを取る。
次のゲームは接戦の末ゲームを取ることに成功した。

コートチェンジの休憩のとき、
「次のゲーム取ったら県大会いけるな」
「だな。オレちょっとワクワクしてる。次のゲームも頑張っていこうぜ」
「オーケー」

そしてゲームが始まった。
相変わらず調子がよくこのゲームも優位に進め、ついにマッチポイントまでいった。
自分は「あと一歩で県大会か。ようやくここまでこれたか」と思い、あたりを見回した。
他の試合が終わったということもあり、会場にいるみんなが自分たちの試合を観ていた。

それから妙なプレッシャー感じてしまった。
みんなが見てる。
やっぱり最後はかっこよくスマッシュで試合を決めたい。

そう思ったのが間違いだった。
まだ点差はあったのでスマッシュをしてミスしても大丈夫だと思い積極的にスマッシュを打ちにいった。
しかし一向に決まらない。
それを周りの人が見ている。
それから人の視線が気になり自分のプレイができず、ミスが続きこのゲームをとられた。

部長が「県大会いけるって思って緊張したか?まあ次が勝っても負けても最後のゲームだ。頑張っていこうぜ」と言った。
自分は「まあちょっとね。次のゲームからは大丈夫だよ。頑張っていこう」と今の精神状態を隠し言った。

最終ゲームはものの見事に惨敗した。
序盤あんなに優位に試合を進めたのに結果は惜負。
それもこれも全部自分のせいだ。
そして試合後部長に話しかけようと思ったが、部長か泣いていたので後回しにした。
今まで部長が泣いてるところなんて見たことがなかった。
よっぽど悔しかったのだろう。
その姿をみて自分は心苦しかった。
だからダブルスなんてやりたくなかった。
シングルスで出場していればこんなことにはならなかった。
自分は部長がダブルスやろうと言ったことに対してぐちぐち言った。

そのあと部長が自分のところによってきて、
「今までありがとうな。オレのわがままで最後ダブルス組むことになってこのような結果になって申し訳ないけど、すごい楽しかったよ」と言った。
オレはさっきぐちぐち言ったことをスゴく恥じた。
内心、「このような結果になったのって明らかにオレのせいじゃん。なんでオレを責めないの?最後の大会だったんだよ?」と思ったが、「こちらこそありがとう。オレも楽しかったよ」と言った。

この試合以降自分はこのような思いは絶対したくないと思い、何事にも全力で取り組もうと思った。
そのとき振り返れば、自分は何でもできるという変な自信があり、練習を疎かにしてた部分があった。
その結果いざ練習の成果が試されるときに力を発揮できなかった。

その経験があるから今の自分がある。
今思えばその経験は表彰状以上の価値があると自分は思う。